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September 27, 2018 / 1:25 AM / 23 days ago

高度金融人材を実務の世界へ:丸の内発、注目を集めるビジネススクール

東京・丸の内にキャンパスを置く、首都大学東京大学院のファイナンスプログラムが注目を集めている。国際金融都市・東京の実現のために、さまざまな取り組みを行う同学のそのプログラムが2019年度から大きく変わるという。

〈少人数の講義が特長〉

東京都は2016年12月、東京の成長戦略の一つとして「国際金融都市・東京の実現」を打ち出した。「金融の活性化は、都市の魅力や競争力維持のために不可欠です」と東京都政策企画局の菊地顕行課長は話す。

「国際金融都市の発展には、金融系企業の誘致・育成と併せて、その担い手となる高度金融人材の育成も欠かせません」と言う菊地氏が「国際金融都市のアカデミックな拠点となってほしい」と期待するのが、首都大学東京大学院のファイナンスプログラムだ。

そこで、同学のファイナンスプログラム(MF)ディレクターを務める室町幸雄教授を、丸の内のオフィス街にあるキャンパスに訪ねた。

首都大学東京大学院 ファイナンスプログラム(MF)ディレクター 室町幸雄教授

「グローバルに活躍できる人材を育て、実務の世界に送り込むことで、教育の面から〈国際金融都市・東京〉をサポートしようと始まったのがこのプログラムです」と室町氏は話す。

「特長のひとつは一学年10人程度までという少人数で講義が行われることです」

実際に講義を受けている学生からも少人数の講義は、「質問や議論が自然に行われ、授業中に理解できなかった点も、授業後に納得いくまで教えていただけるので、消化不良のまま進んでしまうということがありません」(りそな銀行・高松慎矢さん)と好評だ。

少人数であることのメリットは他にもある、と室町氏は語る。「教員同士の距離も非常に近いので、学生の長所や弱点も把握しやすく、その情報に基づいた的確な指導が可能です」

〈実務家も学びやすいプログラムに〉

これまでは平日昼間にすべての講義を開講していたが、金融機関からの要望を受け、2019年度からは平日昼間に来られない人も修了要件を満たせるように、多くの講義を平日の夜間と土曜日に移動する。

また、金融機関の実務に直結する「投資運用」「デリバティブ」「金融リスク」といった従来のコア分野だけでなく、重要な取引相手である一般事業会社に対する理解を深める「コーポレートファイナンス」分野の教育を強化する体制を整えたことも変更点の一つだ。

首都大学東京 大学院
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同学のプログラムが目指すのは、学生が実務に戻ったとき、身につけたものが使えるようになっていること。そのため、実践的で興味深い試みも多い。

「例えば今年度は、仕組債の価格の決定、また、証券化商品のキャッシュフロー展開や、金利の変動で何が起こるかを分析するといったケーススタディを行いました。その他にも、教授を含めた参加者全員で学生の発表を討議するゼミ形式の講義もあります」

室町氏の話を聞いていると、少人数ならではの特長が次々に出てくる。修了要件の一つである修士論文の指導も、学生一人に対して教員が複数といった形で手厚く行われることも普通だという。

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金融を取り巻く企業からは、期待の声も寄せられている。

資産運用会社で、個人投資家に人気の公募投資信託「ひふみ投信」の販売会社でもあるレオス・キャピタルワークス株式会社の白水美樹取締役は、「国内でファイナンスの高度な専門教育を受けることができる教育機関は少ないのですが、社会人が仕事を続けながら学ぶことができる機会を提供するこの取組みは素晴らしい。『実践で生きる』カリキュラムを今後も継続していただきたいと思います」とエールを送る。

また、金融機関を顧客に持ち、不動産登記情報とビッグデータを掛け合わせることで金融機関の業務の効率化を図る株式会社トーラスの木村幹夫代表取締役は、「ファイナンスは企業活動にとっての生命線ですが、その教育が行き届いていないのが現状です。このプログラムは体系的に組まれていて、学生は限られた時間で効率的にファイナンスが学べそうです。実務をやっていると、ファイナンスが日々進化していると実感しますが、時間をとって学ぶことが難しいことも事実です。新しい事例や理論を実務家にもわかりやすい形で提供してもらえるとうれしいですね」と話す。

〈実務を意識した教育を徹底〉

室町氏はそうした声に応えるように、同学の状況を説明する。「教員は、ここで身につけたことは最終的には実務に使うものだと考えています。実務を経験してきた教員も多く、実際にアルゴリズム取引をやっていた教員が、来年度から『アルゴリズム取引』という講義を行う予定もあります」

前出の高松さんも「実務の最前線で活躍してきた教授から、最先端の理論を実務での活用を意識しながら身につけることができます」と講義の様子を語る。そして「高いレベルで金融の実務家として活躍していくことを目指している人にとっては、最適な場所だと思います」と続けた。

だからこそ、と室町氏は話す。「我々教員は、実務をしながら学ぶ学生からリアルな刺激を受けられ、学部卒で入学した学生も、実務家の学生から実践的な話を聞いて好奇心を掻き立てられます。実務を意識した教育が徹底されているということです」

また、同学に併設された「金融工学研究センター」では、さまざまな講師を招くセミナーを開催している。学生はもちろんそうしたセミナーにも参加できる。

海外との連携では、世界的に評価の高いロンドン大学シティ校のCASSビジネススクールと協定を結ぶことになり、学生や教員の交流も検討されている。

〈面接を重視した入試〉

同学の入試も2019年度から変わる。「入試は書類選考と面接で、年2回、9月と2月に行われます。来年度の入試からは筆答試問をやめて、面接の時間を長く取り、ひとりひとりに即した質問をしていくことで、より深く志望者を把握したいと考えています」(室町氏)。

このようなプログラムで自分はやっていけるのかと不安に思う志望者もいるかもしれない。室町氏は、「重要なことはその方の学習意欲が高いかどうかです。ファイナンスを深く学んでいく上でその方に不足している知識や技術に関しては、個別にフォローアップできる態勢を整えています」と話す。

少人数でのきめ細かい指導が生み出す高度金融人材。その活躍に期待したい。

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