Sponsored
July 19, 2018 / 1:41 AM / 8 days ago

AIにより、岐路に立たされるF1

無人運転車両が移動手段の未来を変えつつある中、モータースポーツのプレミアシリーズが進むべき道とは

人工知能(AI)の躍進があらゆる種類の産業を揺るがせている。自動車イノベーションの最大の推進力であるF1にまでその影響が及ぶのも当然だろう。

ルノーとウィリアムスは、機械学習と分析を利用して、レース中の戦略決定の最適化を追求、さらには自動車の製造にまでAIを利用している。ホンダは、トロ・ロッソに提供するハイブリッドエンジンの分析のため、IBMの「Watson IoT」と手を組んだ。

これらはまだAIとF1との関係の初期段階に過ぎない。しかし、自動車会社がF1コース上で無人運転車両の試験走行に既に着手している現状からみても、モータースポーツのプレミアシリーズに、無人運転用のレースが登場するかどうかが焦点となりそうだ。

Slideshow (2 Images)

かつてペトロナス・レーシングチームでチーフエンジニアを務めたピーター・ホー氏は、「高速動作を行うあらゆる機械にとって、人間が最大の脆弱性になっています。AIが操縦する無人運転車両ができれば、理論上、F1のドライバーの運転技能を超えることは可能でしょう」と語る。

ホー氏は現在、自身が創設したAIエンジニアリング企業、HOPE TechnikのCEOを務めている。彼はまた、F1は1950年のスタート時から、自動車のイノベーションの最前線に立つことで、確固たる地位を築いてきたと話す。

「F1はテクノロジーの最高峰に位置するものです。グラム単位、立方センチ単位、分単位のテクノロジーに対してつぎ込まれる金額は、他産業の追随を一切許さないでしょう」

しかし、無人運転車両の発展が自動車産業の新たな推進力となる中、F1は従来のレースの方式を基本的に変えることなく、新鮮さを保てるのだろうか。そして、無人F1カーのスターティンググリッドへの登場はもうそこまで来ているのだろうか。

ホー氏はまだ課題があると語る。「緊急時に、どのように無人運転車両と通信し、停止させられるかという問題があります。人間であれば、未知の環境に対応し、直感で判断することもできます。この点はまだ人間が有利でしょう」

無人運転レースカーのF1参入には、ハードウェア上の問題もある。AIエンジンをレースでトップスピードまで持っていくには、膨大な量のエネルギーが必要となる。

「AIエンジンをF1カーで動かすには、プロセッサ起動に必要な電力を得るだけでも倍のエンジンサイズが必要です」とホー氏は語る。「つまり、AIが参入するためには、エレクトロニクスのパラダイムが変わる必要があるのです」

電気自動車によるストリートレースのチャンピョンシップ、フォーミュラEでは、このパラダイムの変化が既に進行中だ。具体的には、「Roborace」シリーズの開催が予定されていて、無人運転車両同士の最高時速199マイル(約320キロ)の対決が観られるというのだ。

1秒間に約3億2,000万ものオペレーション[1]をこなすAIプラットフォームに裏打ちされたこれらのスーパーカーは、現状ではデモ走行の段階だが、「Roborace」のCEOであり2016〜17年のフォーミュラEチャンピオンのルーカス・ディ・グラッシー氏は、モータースポーツの未来に明確なビジョンを持っている。

モータースポーツ:フォーミュラE・チューリッヒePrix(2018年6月10日)。表彰台で、レースでの勝利を喜ぶルーカス・ディ・グラッシ(アウディ・スポーツ・ABT・シェフラー)。写真:REUTERS/Moritz Hager

「未来の交通関連自動技術に焦点を当てたプラットフォームとして、『Roborace』でモータースポーツを超えたいのです」最近のインタビューでの発言である。「移動手段の未来は自動化にあります。業界ではこのことに関して異論はないでしょう。」[2]

実際、モータースポーツが新たな、より若い客層への訴求力向上を図っているという流れの中で、無人車両なら、開発者はドライバーの安全性に縛られることなく、より高速で、よりエキサイティングなレース展開を追求できる。[3]

しかし、モータースポーツを統括するFIAは、少なくともF1では、ファンを惹きつけ、人気を呼んでいるのは、あくまでもドライバーであるとの立場を取っている。

ただ、将来的にチャンピオンシップにおいて、無人のセーフティカー(コースが危険な状況になった際に、レースを先導する車)が登場する可能性はある。FIAのF1技術部門を統括するマーチン・バドコウスキーは、最近のインタビューで、このような技術開発は、F1レースの極めて重要な人間的な側面を維持しつつイノベーションを促進する有効な手段であると示唆した上で、次のように述べている。

「実現性が多少疑わしく思われている技術が、実際に機能することを証明できれば、その開発は促進されるでしょう。セーフティカーはコンピュータ制御となり、ドライバーはもはや不要となります。しかし、ドライバーのいないレースカー(F1)の魅力については疑いがあります。エンジニアは熱狂するかもしれませんが、ファンの心は打たないのではないでしょうか」[4]

[1] Digital Trends - Roborace self-driving race car gets an upgrade, but when will it actually race? - April 2018
[2] motor1.com - Formula E champion di Grassi becomes Roborace CEO - September 2017
[3] CNN - Can motorsport still be exciting without human drivers? - March 2018
[4] Autosport - Formula 1’s safety car could become driverless, says FIA - August 2017

More of this series

シンガポールは、今年もF1の成功に沸いた今年も大成功に終わったシンガポールグランプリ。
F1は電気自動車で未来に走るか2017年初頭にリバティ・メディア社が80億ドルの買収を成立させて以来、F1は岐路に立たされている。
「F1は男の世界」は過去の話かF1は男らしいスポーツとしてのイメージを保ってきた。しかし、ファンを含めた女性の増加で、その先入観は崩れてきている。
10周年を迎えたF1の成功が、シンガポールに寄与するものF1レースの開催が国のステータス向上に寄与するとすれば、シンガポールGPほどの成功例は類を見ない。
華やかで、魅惑的。エネルギッシュなシンガポールGPシンガポールグランプリがF1ファンを酔わせる。
シンガポールGPは、ドライバーを限界への挑戦に誘うすべてのF1ドライバーが、最も過酷なレースとして、迷うことなくシンガポールグランプリを挙げるだろう。

The Reuters editorial and news staff had no role in the production of this content. It was created by Reuters Plus, part of the commercial advertising group. To work with Reuters Plus, contact us here.

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below