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August 14, 2018 / 2:29 AM / a month ago

10周年を迎えたF1の成功が、シンガポールに寄与するもの

F1レースの開催が国のステータス向上に寄与するとすれば、シンガポールグランプリほどの成功例は類を見ない。

F1は、各シリーズが開催地で年に1度行われる、世界最大の視聴者数を誇るスポーツイベントだ。その公式発表によると、昨年は3億5,230万人ものテレビ視聴者数を集めた。

この集客力、さらにF1がその発祥地、欧州から新たな市場への拡大をめざす方針を利用して、観光、ビジネス拠点としての発信を試みてきた開催国もあったが、F1初のナイトレースを開催したシンガポールに比肩しうる例はほぼ見当たらない。

都市としての華やかさ、景観、エンターテインメント性に、世界でも有数なビジネス拠点としてのステータスが加わり、シンガポールグランプリはあっというまにF1を代表するものになった。

「我々の理想とするイベントを最も体現したものです」とは、F1の最高経営責任者であるチェイス・キャリー氏。昨年9月にシンガポールグランプリ10周年レースで、2021年までの4年間の開催契約延長を発表した際の発言だ。

「エンターテイメント、情報発信、あらゆる年齢、種類の人々が楽しめる様々なアクティビティによる1週間にわたる祝祭。まさに、レースを中心とした7日間のお祭りです」と同氏は続けた。

シンガポールF1グランプリのナイトレースの記者会見で握手するフォーミュラーワン・グループのチェイス・キャリー会長とS・イスワラン・シンガポール通商産業相。2017年9月15日 写真:REUTERS/Edgar Su

リバティメディアがF1のオーナーとなった後の昨年1月にキャリー氏は、F1を長い間実権支配してきたバーニー・エクレストン氏から、F1の最高経営責任者を引き継いだ。彼は、各グランプリを、様々なアクティビティで盛り上げて日曜日のレースにつなげるような、「スーパーボウル的な」イベントにしていくと語っている。

シンガポールは、2008年の初開催時にはモータースポーツファンが非常に少なかったにもかかわらず、今年で10年も開催され続けている。キャリー氏が新たなレースシリーズ、特にアジアでの将来的な参加希望国に対して、同国の状況を模範として持ち上げるゆえんだ。

「言うなれば、シンガポールにはF1が望むものすべてがあります」こう語るのはデロイト東南アジア地域およびシンガポールのスポーツビジネスグループリーダーのジェームス・ウォルトン氏だ。

「安心・安全な開催地、シンガポールのスカイラインを擁する著名なレースコース、世界的名声を誇るホテル、レストラン、観光地はもちろん、空港や近隣ホテルからコースまでわずか20分という好立地、地元の富裕層の観戦やビジネス拠点としての確たるステータス、なにより政府が協力的で、ビジネスのしやすさを後押ししています」 

(表彰台壇上の右から)ホテル経営者のオン・ベンセン、S・イスワラン・シンガポール通商産業相、リン・ネオ・チアン・シンガポール政府観光局長官がF1のコースとなるシンガポールの金融街の模型を見る。2007年5月11日 写真:REUTERS/Vivek Prakash (SINGAPORE)

シンガポール政府観光局(STB)のディレクター、ジーン・ウン氏によると、煌めくスカイラインを背景に、街の灯を浴びてうねる道路をレースコースとして、シンガポールの心臓部を駆け抜けるレーシングカーの絶景が、第1回から合わせて7億8,000万人もの海外視聴者のテレビ画面を彩った。

彼女は、これこそが「世界中の観衆にシンガポールの美、活気、魅力を伝えることに寄与している」と語る。

シンガポール政府の依頼でボストンコンサルティングが2012年に実施した研究によると、レースをテレビ観戦した富裕層の10%が、今後シンガポールを訪れる可能性が高いと回答した。

さらに、富裕層の30~40%が、レース観戦後にシンガポールに対する印象や認識が向上したと述べた。

レースが開催された10年間にわたって、海外から45万人の観光客がレース観戦のため、シンガポールを訪れ、総観光収益がおよそ14憶シンガポールドル押し上げられたとウン氏は語る。

これは、グランプリ・シーズン・シンガポール(GPSS)と称された10日間の祝祭に代表される、レース関連イベントによるところが大きい。

期間中、観光客は食、歓楽、ショッピングから、歴史、伝統文化まで多彩なシンガポールの魅力をすべて堪能できるのだ。

「文化や伝統、ショッピング、娯楽からグルメまで、特別な趣向を凝らして現地の活気に満ちた様々なライフスタイルを発信しています」

ウン氏によると、レースをその後1年間、観光客に提供する新たなテーマの実験場に利用する企業もあるという。

「今日、シンガポールグランプリとGPSSは、シンガポールの魅力的なライフスタイル、エンターテイメントの拠点としてのステータスを押し上げ、シンガポールに住む人も海外からの観光客も堪能できる、幅広い体験を提供する目玉イベントとして成長しています」

F1シンガポールグランプリ2012、マリーナベイ・ストリート・サーキット。レース終了後に巨大な観覧車越しに花火が打ち上げられる。2012年9月12日

レースのホスト国としてシンガポールが享受した利益は、単なる観光収益のみにとどまらない。

活気ある大都市の中心でレースを組織運営するためには、道路封鎖からチケット管理まで膨大な作業を要する。そしてレース関連事業の90%以上が地元企業に委託されるのである。

したがって、レースはシンガポールの国際的地位向上に寄与するだけでなく、地元企業がその実力を世界に発信する機会にもなっている。

「F1を利用してその専門性、革新性を確立し、国際的注目を浴びたシンガポール企業もあります」とデロイトのウォルトン氏は語る。

「中国、米国、フィリピンに進出を果たしたSteward’s Solutionをはじめ、音響照明企業Hexogon Solutionもその例です。」

主催者と政府はまた、レースを科学、技術、エンジニアリング、数学研究推進等のための地域参加型プログラムの奨励に利用している。

「さらに、毎年2,100人もの学生やボランティアが積極的にレースに関わっており、実践でスキルセットを磨く貴重な機会が提供されています」とウン氏も語る。

今回の契約更新により、シンガポールは今後4年間、毎年45,000人の海外からの観光客を見込んでいる。

一方で、政府が6割負担する開催費用については、年1億5,000万シンガポールドルから1憶3,500万シンガポールドルに下がる。

「今後を占う上で非常に前向きな傾向でしょう」と、昨年9月のレースが、10年間の平均を上回る260,400人の総観客数を集めたことを受けての、シンガポールGP社の事務局長、マイケル・ロシュ氏は話す。

「我々の目的は昔から変わりません。レースそしてその周辺イベントを常に改善することでシンガポールへの再訪を促し、さらなる観光客を呼び込むことです」

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