早稲田大学ビジネススクール✕野村證券:MBAを取得することの昨今の必要性は?

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答えのない問いに答えを出す勇気。その力を養うため、今ほどビジネススクールが役立つときはない

コロナ禍で働き方が大きく変わる中、自分の将来に不安を案じ、何か行動を起こさないければという衝動に駆られている人は少なくないだろう。財団法人⽇本⽣産性本部の最近の調査(1)によると、自己啓発を行っている20歳以上の雇用者*のうち、Webなどのオンラインツール活用をしている人は49.7%であったものの、大学・大学院・専門学校など教育機関での受講は4.7%にとどまった。ウェビナーやオンラインスクールなど学びの機会は自分次第でいくらでも得られる時代になった今、キャリア形成においてビジネススクールを選択するメリットはどのくらいあるのだろうか。

*日本の企業・団体に雇用されている者(雇用者=就業者から自営業者、家族従業者等を除いた者)

ビジネススクールに通う意義

「デジタル化が進んで個人が世界中のどの情報にも簡単にアクセスできるようになりました。いわゆる一方通行の講義のために学校に来る必要はありません」と話すのは、早稲田大学ビジネススクールの菅野寛教授。十数年にわたり国際的なコンサルタントとして活躍した経験を持ち、人材育成に関する著書や論文も多い。「逆に、議論を戦わせながら学ぶという、もう一段レベルの高い学習の重要性はコロナ禍で加速しました。一緒に考えて答えのない問いに答えを出していく。そのためにビジネススクールに通う意義があります。受け身の学習で学べないことがますます重要になっていると私たちは考えています」。

菅野教授の授業では、学生には教科書や録画動画で学べることは事前に学習してもらい、教室ではディスカッションが中心だ。

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企業からみてMBAはどうとらえられているのだろうか。2-30年前は日本企業のMBA社費派遣制度が盛んであったが、現在はどうだろうか。「野村グループはMBA派遣をすでに60年間近く行っており、延べ550人を、米英を中心とした海外有名校と言われているところに送っています」と、野村ホールディングスファイナンス企画推進部長の鈴木淳子氏はいう。現在も毎年派遣しており、通常の業務をこなしながらエッセイの準備やGMATなどの入学適正テストの点数を上げていくのは相当の覚悟が必要であるが、最終的には若手社員を中心に年に10名前後が選ばれている。

鈴木氏の所属するファイナンス部門はグローバル人材のキャリア採用に積極的だ。業務内容はトレーディング商品まわりの業務、収益分析、グループ全体の資金計画、連結決算、資本政策まで多岐にわたり、多くの業務で英語が必要とされる。ファイナンス部門の社員のうち、7割が外部からの転職者であり、外国籍社員が全体の2割弱を占める。日本人、外国人ともにMBA取得者の応募も目立つ。「最近はMBAに加えて統計学や数学を専攻してきた人材も増えています。MBAは必須条件ではありませんが、最終面接に残るのはMBA取得者が多いのも事実です」。

なぜ、MBA取得者が高く評価されるのだろうか。鈴木氏は、多くのMBA取得者が身につけている「実践的な知識と、マーケットや世の中で起きている事柄についてディスカッションできる」能力がひとつの要因だと指摘する。自分の将来に対して具体的なビジョンを描ける人も高評価されているという。

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「MBA取得者に限りませんが、採用に至った人材の多くは、『将来は自分で事業をしたい』など、しっかりした目標があります。自分で決めたとことであれば、失敗しても『次からこうしよう』と思えます。やらされた感で仕事をしても良い結果はなかなか出ません。そのためにも、自分が何をやりたいのかを最低限知っておく必要があると思います」と鈴木氏。

「また、世の中のビジネスの変化は早いので、包括的かつ実践的に学ぶ機会はとても有用だと思います。会社勤めをしながら夜間や土日にビジネススクールに通うこともできますね」。

答えのない問いに答えをだす

では、ビジネススクールでは今、どのような教育に重点が置かれているのだろうか。「世界のビジネススクールでよく言われることに『Knowing、Doing、Being』という言葉があります。『Knowing』は知識を学ぶ、『Doing』はケースディスカッションといって、実際の企業の問題を『あなたが社長だったらどうするか』という議論を繰り返して実行できる力をつける。何十年も前からやっています。そして『Being』は、あなたはどういう人間になるべきか、という倫理教育で、ここに一番軸足が置かれています」と菅野教授。

その背景のひとつとして、国内外で不正会計やデータ改ざん、不正融資などの事件に加え、危機管理対応や広報活動でも批判が相次ぐ社会的影響が大きい出来事が多発していることがある。一度損ねた信頼を回復させるのは難しく、破綻に追い込まれることもある。「ビジネスパーソンとして正しい意思決定をするというのはどういうことかを学ぶのが大事であり、インターネットの独学ではできないことです」。

鈴木氏も、倫理に基づいた正しい意思決定をすることが最も重要だと語る。「野村グループはグローバルにビジネスを展開していますので、ファイナンス部門はバーゼルをはじめとした各国の規制を考慮しコントロールファンクションとしての役割も果たしています。例えば、財務状況を反映する定量的情報と定性的情報を含むバランスシートの健全性を担保するために、金融商品会計の評価に際してはビジネス側の評価とは独立した立場で行うことが求められます。ビジネスに対して利益だけを見るのではなく、社会全体や顧客をはじめとするすべてのステークホルダーに対する影響を考慮して、社会の一員として何をやるべきなのかを常に考えなければなりません」。

「このように、私たちの仕事の多くは、答えを出すための要素が多数あり、自分たちで判断して最適な解を導かなくてはならないものです。もちろん大変で苦労も伴いますが、非常にエキサイティングな仕事だと思います。

社会の一員としてのビジネスリーダーの役割については、以前と比べて学生も高い意識を持つようになり、授業で議論が一番活発になる話題だと菅野教授もいう。「例えば、儲からないと分かっていても1,000人の命を救う薬をあなたが社長なら開発するか、など具体的な話は大変盛り上がりますね。株主だけでなく、地域社会、さらには地球も含めたマルチステークホルダーのことを考慮して意思決定するのがリーダー、という考えが非常に強くなってきています」。

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アジア屈指のビジネススクール

このような議論が日常的に活発に行われる早稲田は、他に類を見ないアジア屈指のビジネススクールだ。一番の特徴は「多様性」と菅野教授はいう。日本語と英語それぞれのプログラムがあり、シンガポールのナンヤン工科大学との両校のMBAを取得できるダブルMBAプログラムも有する。プログラムをまたがって授業を取ることもできる。豪華な教授陣でも知られており、アカデミックな世界で国際的な実績を持つ教員とIT界の重鎮、コンサルティングファームの元トップなどビジネスの第一線で活躍した教員が半々の割合でいる。これらの教員たちが情熱を持って授業を行い、プログラムを充実させようと常に努力をしている。教員たちは学生と経営者の対話も重視しており、豊富な人脈を生かして著名な経営者をゲストスピーカーとして頻繁にキャンパスに招き、大企業から創業間もないベンチャーまで企業訪問も活発に行っている。

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また、日本特有の授業形式である「ゼミ」が必修であるため、教員やゼミの仲間とある一定のテーマについて深い議論を重ねたり、生涯のネットワークを構築したりすることができる。さらに早稲田は、MBAプログラムの品質を評価する3つの国際認定機関(AACSB,EQUIS,AMBA)のうちAACSBとEQUISから認定を取得し、国際ランキング(2)でも上位を獲得していることから、コロナ禍にもかかわらず海外からも優秀な学生が多数応募してくる。日本にいながら質の高いグローバル体験を得ることができる。

このような環境を「面白そうだ」と感じる、多様なバックグランドを持つ学生たちが集まってくるのも早稲田の特徴だ。面接の際は、「どういう人生のプランを持っているか、そのためになぜ早稲田で勉強したいのか、という点を重点的に聞いている」と菅野教授。「肩書を求めるのではなく、自分がどう成長したいかがわかっている人だと、ビジネススクールを最大限に活用して大きく羽ばたけるからです」。

修了生たちの進路も多岐にわたる。多くの日本人学生は会社を辞めずに夜間主プログラムを専攻するため、元の会社に戻る人も多いが、同じ職場で革新的なことをやりだす人から会社を辞めて起業する人、留学生から刺激を受けて海外に行く人まで、辿る道はさまざまだ。「みんな大変そうですが、みんなハッピーだと言っていますね」。

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求められる資質

コロナ禍で海外に留学するのが難しい今、多様性のある環境で学ぶ場として、早稲田は選択肢の一つとして有望だと鈴木氏は語る。「私たちは不確実な未来に向かって変わろうと努力していますが、そのアイディアをひねり出すのに大変苦労しています。同じ人たちと同じことを見ているとそれが常識になって、新しいアイディアがなかなか生まれませんから、ビジネススクールで知的刺激を得られる機会は羨ましいですね」。

菅野教授も続ける。「答えのない問いに直面したとき、どのように意思決定すればよいか。その考え方を身につけることがビジネススクールで学ぶ一番の価値だと思います」。

メールでの顧客対応から大型融資の決定まで、ビジネスでは一つひとつの判断が将来の成長につながっている。キャリアを重ねるにつれ、何が正解かが分からない場面に遭遇することも多いだろう。そのような時にどう対応をすれば自身がかかわる業務を正しい方向に導き、悔いが残らないか。その訓練の場として、早稲田は魅力的な選択肢の一つといえる。

Board

(1) 公益財団法人 日本生産性本部 第6回働く人の意識に関する調査 調査レポート 2021年7月16日www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/6th_workers_report.pdf
(2) Eduniversal Eduniversal Best Masters Ranking 2021 【MBA full time】 における日本国内で第1位、極東地域で第4位に選出here

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菅野 寛 教授(KANNO, Hiroshi)
早稲田大学ビジネススクール(大学院経営管理研究科)教授
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター所長

東京工業大学大学院修士課程修了。カーネギーメロン大学経営工学修士(MBA)。ボストン コンサルティング グループ  (BCG) にて十数年間、日本およびグローバル企業に対してさまざまなコンサルティング・サービスを提供。BCGにてパートナー&マネージング・ディレクター職、Technologies, Media and Telecommunications部門のアジア・パシフィック代表を勤める。2016年より現職。専門分野:経営戦略、総合経営

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鈴木 淳子 氏 (SUZUKI, Junko)
野村ホールディングス株式会社
ファイナンス企画推進部長|グローバルファイナンスCOO
サンダーバードスクールオブグローバルマネジメント(MIM修士)

モルガンスタンレー、シティグループのファイナンス部門において商品会計業務に従事し、2010年から野村ホールディングス(株)に勤務。マネージング・ディレクター。今年度よりファイナンスにおけるデジタルトランスフォーメーションのリードも兼任。

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